占いの裏話13

厄除け、方位除けの話 (2回シリーズ) そのニ 「方位除けの広告」の話
 T 方位除けの広告の内容
 
年末年始の新聞や折り込み広告には、「厄除け」だけでなく「方位除け」を強調したものが出回ることは、前回NO12にのべた通りである。
前回NO12では、「厄除け」の広告の内容を6+1のケースまで列挙したので、今回は「方位除け」の広告の内容について述べるが、順を続けて8のケースからスタートすることにする。
 
8のケース  「方位除け」を表示していない広告。
 
9のケース  タイトルには家内安全・厄除け、商売繁盛、方位除け、・・
       ・・と表示をしているが、方位除けについての具体的な事は
              表示しない広告。
 
10のケース タイトルに「方位除け」を入れ、具体的にも「今年(平成13年)の
       方位除けの人・・八白、二黒生まれの人」として表示いる広告。
 
11のケース タイトルに入っているのは勿論、具体的にも「平成13年に
       方位除け・・・・あなたの星回りが中央、北、艮(東北)、
       坤(西南)、に位置する年齢・・・・・・・」とし、更に
              和暦生年と年齢を表示して「但し昭和30年以降は満年齢」と
              している広告。
              男女が別なのかどうかは書いていない。
 
12のケース 盛り沢山のタイトルがあり、その中に、「方位除け」は勿論
       「大凶除け」も入っている広告。
       いずれも男女共通として、理由を付さず、和暦生年と年齢を
       表示している。
 
以上5つのケースに分けられる。
 

U、上記へのコメント
 
  (1)、8と9のケースは、まともな広告といって良いだろう。
何故なら「方位除け」などは特に初詣に限ってやる必要があるものではないからである。また、初詣のついでにやってもらう人の為なら、8のケースのように「(必要な人には)方位除けもやります」という表示だけで充分のはずだからである。
 
  (2)、10のケースに言う「八白」は何を意味するのか。
これは、11のケースに言う「あなたの星回りが中央に位置する年齢」を指す。
確かに八白は、平成13年(八白中宮の年)は年盤(年廻りを表わす盤)の上では、中宮に位置する。
「本命が中宮にあるとき、つまり中央の位置に生年星が入ると、八方塞がりの状態になり、才能のある人でもなかなか力が発揮できず、ジレンマに陥り易い」という意味である。
俗に言う「八方塞がり説」を根拠とするものである。
九星のどの星も、9年に1度は年盤上の中央(中宮と称する)に回座するのであるが、
この年回りに当った時の解釈については、諸説が紛々と存在する。
以下これについて解説する。
 
非常に悪いという説が圧倒的であるが、非常に良いと言う説もある。
私は後者を主張する。
 
     (イ)、前者には@八方的殺説、A八方塞がり説、B暗剣殺被同会説、C五黄定位説、がある。
いずれも盤(上述)を基にしている。
この内で一般に知られているのが、Aの「八方塞がり説」である。
日本人には通常語になっていて、日常でも頻繁に使われているので、これが気学の用語であるとは一般には認識されてないはずである。
以下@からCについて解説する。
 
        @は、各人の本命星が中宮に回座すると、これを中心とした八方がすべて本命的殺になるので非常に悪いと言う考え方である。
本命的殺とは、九星盤の上で本命星の反対側(対冲と称する)の位置のこと(凶殺)をいうが(当HP講座NO7参照)、真ん中の回りは真ん中の反対側ではないのは明らかであるから、この考え方には無理があると言える。
 
        Aには、二つの考え方がある。
            a、 一つは本命星が九星盤の真ん中の丸の中に在ることに目をつける。
そして、その年(月、日)はその本命星が丸に囲まれていて、外に出られない状態であるから、どの方角に向かって事をしても不吉の結果を生じ、非常に悪いという考え方である。
しかし、これこそこじ付けの最たるもので全く根拠がない。
丸又は八角の方位盤は、九星の遁甲を説明するのに用いられる図であり、古くから慣例になっている説明図にすぎず(歴史は古い)、その真ん中を説明し易く丸で囲んであるからと言って、そこに位置した時を「囲まれた」とこじつけるのでは話にならない。
 
      b、 二つ目の定義の仕方は、五黄そのものが中宮に回座すると、八方がことごとく暗剣殺になるので非常に悪いという考え方である。
暗剣殺とは、盤の上で「中宮九星の本籍位置」のこと、通常知られているのは「五黄星が回座する位置に対冲の位置」のことを言う凶殺の業界用語である。
bは、一番尤もらしいので素人受けする考え方だが@と同様の理由で、また後述Bと同様の理由で採る事が出来ない。
なお、bに相当するもので「全方位五黄殺」という不穏当な名称を付け、トンチンカンな理由付けをしている輩もいるようだが、内容は意味不明である。
要するに、Aは二つとも不適切といえる。
 
       Bは、同会、被同会と言う業界用語を解説する必要が出てくる話で少し厄介だが、各人の本命星が中宮に回座したとき(つまり、本命星が中宮に同会したとき)は、九星のうち五黄を除く八星の場合には、その被同会星に暗剣殺が付く。
つまり、同会先は五黄であり、被同会では暗剣殺が付くことになるから、その年(月、日)は非常に悪いという考え方である。
しかし、「五黄だけは九星の中で他の8つの星とは別格だ」ということを理由にしているだけで、その他除かれる理由についての充分な説明付けができていない。
この考え方は運勢を同じラインから眺めるべきとする立場からみると、納得ができない。
 
       Cは、Bと同様、五黄だけを特別な星だとする考え方から出ている。
「五黄は他の八つの星を統制し支配する強力な星」であり、「皇帝の星」である。
従って、五黄の本籍である中宮は「皇帝の座」である。
五黄以外の本命星がこのような有り難い中宮の座に回座したときは、恐れ多い場所に定着する事であるから、普通の(庶民の)星にとっては居心地が悪く、従って非常に悪い状態にあるという考え方である。
これもBと同様、採る事はできない。
 

  (ロ)後者つまり非常に良いとする説は
 
       D、中宮は「皇帝の座」で緒星を統率する位置にあるから、これに回座できる年こそ一番有難く、良好だとするのである。
しかし、この考え方の結論は正しいと言えるが、あやかることを有難いとすること及びB、Cと同様の理由で採る事はできない。
 
       E、私は、次のように主張する。
中宮同会のときは、どの本命星の人にも本命的殺がなく、たとえ本命殺を凶殺とする立場にたつ場合であってもも、これが無いことになる。
(・・・・尚、私は本命殺を認めていません。(当HP講座NO7参照) )
 
つまり6つの凶殺(私の立場では5つ)のうち2つ(私の立場では1つ)がなく、従って凶殺が4つに限定される事になり方位学上、吉方は逆にそれだけ多くなる勘定になる。
そのため為に、その年(月、日)には本命は通常の年より動き易くなり、したがって、行動範囲をそれだけ広く持つことが出来る。
従って行動の威力、効果がいつもの年よりもそれだけ増大するから、結局繁栄につながる。
 
また運勢上この期は盛運そのもの、山の頂上に立った時の気分と同様の爽快期にあたり、それまでに方位を用いた吉、凶の結果が顕現するときでもある。
祐気取りの効果を信じて、その積み重ねに努力してきた人にとっては、それなりの作用を享受することができ平穏で非常に良い時期に該当する。
つまり「方位除け」の必要など全くない時期と言えるのである。
 
   (3)、10のケースに言う「二黒」は何を意味するのか
これは、11のケース に言う「あなたの星回りが東北に位置する年齢」に該当する。
 
東北は通称「鬼門」とよばれる。
鬼門は家相学上の用語であり、東北を指す業界用語である。
しかも、この用語は不適切な用語であると言える(当HP、講座NO4及び講座NO13参照) 
 
そこに本命星が同会するから、「方位除け」をせよと言うわけである。
これは、人の運勢を占うのに鬼門と呼ばれる不適切な業界用語をベースにし、運勢の鑑定と家相、方位の鑑定とをゴッチャにして間違った解釈をしている例である。
 
解っていて商売のためにやっているとすれば、良心を疑いたくなる。
解ってないのなら、今後は正当な専門家を雇ってキチンと内容を解明し吟味して広告を作り、現在発行しているような間違った内容の広告は出さないようにすべきである。
 
方位も運勢も「盤」で占う。
この中の十干、十二支、九星の遁甲を見て占うのであるが、運勢盤の遁甲上、本命星が 東北に位置すること(同会すること)は、9年に一度は必ずあることになる。
だからといってその1年間が必ず凶運にあたるのでは決してない。
該当する時(年月日)は運勢盤上の九星の遁甲による必然的現象であって、方位とは全然関係がないのである。
 
   (4)、(イ)、11のケースに言う「貴方の星まわりが西南に位置する年齢」が「方位除け」に該当するか。
西南は東北の対冲で通称裏鬼門と呼ばれる。
これも、前述(3)と同じ理由で完全に否定すべきである。 
実に人騒がせな、極めて良くない風説である。
こういうおかしな考え方に惑わされてはいけない。
 
           (ロ)、11のケースに言う「あなたの星まわりが北に位置する年齢」 が「方位除け」に該当するか。
本命星が、坎宮に同会した時のことを問題にするものである。
しかしこれは、「方位」の問題ではなく「厄」になるか否かに関する事項である。
そこで、「厄除け」に該るか否かを吟味してみる。
 
気学では同会被同会鑑定法を用いて、人の運勢を年廻り盤(九星盤)上、9年のサイクルに分けて判断する。
運気は一すなわち北(坎宮)からスタートして二、三、四、と徐々に4年間上昇して五の頂点に達し、以後4年間は六、七、八、九と徐々に下降する。
その後、九から一に至る1年間は大事な準備と仕込みの期間である。
そして又一からスタートする・・・という循環をくりかえす。
この九星の運勢のサイクルを図に表示すると、上昇/下降する場合であっても固定しているかのようにに見えるが、運勢の流れはゆっくりと進んでいるのである。
1年間がそのまま終極又はスタート地点として固定しているのではない。
市販のコヨミでは本命星が北に同会する年は、真っ黒の丸になっているが、あれは一年間の運勢を表示するには舌足らずと言って良い。
正確には、そのコヨミが表示している年の2月4日の午前0時が真っ黒なのである。
真っ黒からスタートして、その後、時刻、日、月がそれぞれ進む毎に、黒が欠け、徐々に黒の部分が少なくなり、白丸に向かって上昇するのである。
だから、北同会の年(1年間)を表示するのに真っ黒に表示してしまうこと、即ちこの年を年間を通じて真っ黒の厄年と固定してしまうのは、適切ではないのである。
 
尚、九星気学には、厄年という観念は、特に設定してはいない。
以上により、質問者(K子さん)の言う「大凶の年」というのは「ない」と言えるのである。
 
         (ハ)、運勢と方位の吉凶は、それぞれ別な出し方(占い方)をする。
然るに上述の通り、どの広告も「方位除け」の対象を運勢盤の遁甲から、これを導いている。
このやりかたは正当とは言えない。
又、方位の吉凶の効果は行為、つまり動きをして始めて生ずるものである。
方位を犯してもいないうちから「除け」をする必要は全くないのである。
だから、広告に表示してある「方位除け」の対象は、ほとんど的外れと言って良い。
それとも勝手に事件事故を想定した「予告編」の除けか。
 
  (5)、12のケースに言う「大凶よけ」に至ってはシッチャカ・メッチャカで話にならない。
全国でも、こんな広告を出すところはザラにはないとさえ思う程のシロモノである。
理由を付けてないので、和暦生年と年齢を調べてみたところ、11のケースに言う4種のうち、東北だけを除いて他の3種つまり、年廻りが、中央、西南、北に位置する年齢を「大凶除け」の年齢としているようである。
 
こういう広告を出す類の輩なら、真っ先に東北(通称鬼門)にあたる年齢の人を評して
「大凶だ」とやりそうなものだが、4種の中でなぜか東北を抜き、それにもかかわらず西南(通称裏鬼門)を入れている。
不統一な考えかたであり理解できない。
また何故、東北(通称鬼門)を除いた、この3種が「方位除け」と「大凶除け」のダブり除けのケースになるのかも全く理解できない。
「大凶除け」から何故東北だけが除かれるのか、何故東北はダブり除けの評価対象ではなく「方位除け」だけの対象なのか不思議なのである。
結局、12のケースは何をどう解釈しているのやら中途半端で、成否の検討がつかない。
物騒な年に該当すると指摘して、おびえる人を多く作り、その人達をお賽銭奉納に来させる為に「ない知恵をしぼって」創作したものだと推定するが、こうなると悪質である。
こんな不埒な仏さん、神さんのおどしに乗らないように注意して欲しいものである。
 
 
 
V、 因みに、0才から63才までを各年齢1人とし計63人として計算してみると、
 
  (1)、前回(NO12)の5のケースと今回(NO13)の12のケースのコンビ広告では、63人のうち
    a、厄除け・・・・・男16、女19、計35人(確率56%)
    b、方位除け・・・・男女28人(確率44%)
    c、大凶除け・・・・男女21人(確率33%)  となる。
 
この広告通りに素直に従うとすると、人生63年間のうち方位除けだけの為に28年間も
神社、仏閣に通わねばならない勘定になる。
更にその他として挙げてある厄の指示にも従えば、28プラスα(アルファ)だけ一生懸命通わなければならないことになる。
実に忙しい人生だ。
 
  (2)、ついでに前回の3のケースと11のケースのコンビでは、63人のうち、
a、男5、女9、男女7、計21人(確率33%)
b 男女28人(確率44%)   
c なし          となる。
 
この2回シリーズを読んで、どのような感想をお持ちでしょうか。
読者の自由ですが、年末年始には初詣はするとしても、厄除け、方位除け、大凶除け・・・・の変なアジテーションには乗らない、こだわらない姿勢で静かに過ごす方が人生ラクダと思いませんかネ・・・・。
 
質問者(K子さん)の平成13年の初詣に不足はなかった、と断言できます。


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