占いの裏話12

厄除け、方位除けの話 (2回シリーズ) その一 「厄除けの広告」の話

Q  私は、昭和44年生まれですが、既に満32才になりました。
昨年は、両親や祖父を始め色々な人から盛んに前厄の年だと言われ、気にしていました。
そして、今年は大厄の年なので落ち込んでいます。
昨年の暮れは、新聞や折り込みに入ってくる神社やお寺の初詣の広告が多いに気になりました。
昭和44年生まれの私は大凶の年にもなっていました。
初詣には行きましたが、大金がかかりそうなので大厄除けも大凶除けもやってもらっていません。
今年に入って、体調の良くない日、憂鬱な日があると、つい「厄のため」「厄除けをやってもらっていなかったからか」と考え、不安な思いになります。
厄年は何をやってもうまくいかないのでしょうか。
大凶除けとは何のことでしょうか。
「厄年は数え年で見るのが本旨です」と書いてあったり、「但し満年齢」と書いてあったりしますが、一体どちらが本当なのでしょうか。
年齢は1月1日現在でみるのでしょうか。アドバイスをお願いします。   
                                        ( 新潟県  K子  32才 )
 
 
 
A  このような質問を寄せてくる人は、年間を通じて非常に多く、年末年始には特に多くなります。
年末年始に関係があることですので、その頃になってから、このHPに載せたほうが良いのかもしれません。
現在は9月ですから、年末までは3ヶ月もありますが、年末の直前直後ではカミサマもホトケサマも、この種の商売の正念場に当たり、何かと差し支えるところも多いにありうると推定しますので、あえて今、ここで掲載することにします。
 
年末近くになると「除夜の鐘、初詣、1日から7日までの期間、大祭日・大縁日特別御祈祷・・・・」ETC 慣れない言葉が散りばめられた神社仏閣のかなり派手な広告が、新聞広告に折り込み広告にと色々目に付くようになります。
 
参拝の勧誘だけならいいのですが、サブタイトルに、交通安全、家内安全、厄除け、方位除け、学業成就、商売繁盛、五穀豊穣・・・が入ります。
特に厄除けを強調したもの、更に方位除けを加えたものが多く、普通の人は、これに一番関心を示し且つ気にします。
 
これらを真面目に読み込むと質問者(K子さん)のように、沢山の疑問が出てきます。
そこで今回は私の居住地周辺に実際に入った、いくつかの広告の内容を具体的にまとめて解説してみます。
 
 
 
 T、厄除けの広告の内容
 
  (1)、1のケース  
(a) 厄年の数え方 ((a)は以下同じ)・・数え年で数える。
(b) 厄年の対象年齢((b)は 〃  )・・@女19才A男25才B女33才C女37才D男42才E男61才・・・・ (対象年齢層計6)
(c) 厄の名称と対象者((c)は 〃 )・・B、Dの両者だけを大厄、そして大厄の前は前厄、後は後厄とする。・・・・(対象者合計10)
 
  (2)、2のケース 
(a)、(b)はいずれも(1)に同じ。
(c)は(1)のように分けない。そして全部を「今年の本厄の人」とする(前厄、後厄はない)。・・・・(対象者合計6)
 
  (3)、3のケース 
(a)「 満年齢でみる」とし、該当者の和暦生年を表示している。たとえば
        
        後厄    本厄   前厄
B   昭和  43    44   45年生まれ
D   昭和  34    35   36     etc.....(他は省略)
(b) には(1)のほかに、F女61才G男女4才H男女13才 を加える
・・・・(対象年齢層計11)
(c) @からGすべてが本厄、そしてそれらの前後は前厄、後厄とする。
・・・・(対象者合計29)
 
そして@からGを別称する。つまり、
B、D を大厄。Cを小厄。@、A、E、F、Gを厄・・・と別称する。
Hには何故か名称は付けてない。
 

 (4)、4のケース 
(a)年齢を表示しているが、満か数えかをはっきりと特定していない。
(b)(1)と同じ。但し(1)Cを36才としている(37才ではない)。
    つまり、このケースでは37才の厄はなし、その替わりに36才の厄があること    になる。(平成8年の暮から5年間もこの数字を変えないところをみると、これ    はミスプリントではないようである。
    36歳としているのはこのケースしか例がない。
    このケースは珍説といえる。・・・・(対象年齢層計6)
(c)(1)と同じ。・・・・(対象者合計10)
 
 
 (5)、5のケース 
(a) 満とも数えとも限定せず、該当者の和暦生年と年齢の両方を表示している。      たとえば   
B  昭和41年生まれ 34才 (後厄)
     42     33  (本厄)
     43     32  (前厄)
D  昭和32年生まれ 43才
     33     42
     34     41       etc.....(他は省略)
 
(b)(3)(b)の他に 対象としてI男女51才を加える。
・・・・(対象年齢層計13)
(c)(1)と同じ。
    しかし大厄ばかりでなくIも含め、その全てについて前後は前厄、後厄とする。 ・・・・(対象者合計39)
 
 
  (6)、6のケース
(a) 満も数えも表示せず該当者の年齢と和暦生年の両方をを表示している。 たとえば
B女の大厄 33才  (後厄) 昭和42年生まれ
           (本厄)    43
           (前厄)    44 
D男の大厄 42才          33
                   34
                   35       etc....(他は省略)
これは和暦から推して数え年を念頭においているらしいが、年齢計算が合わない。  
(b) 対象を(1)のうちCを除き(3)のFGを加える。・・・(対象年齢層計8)
(c)(1)と同じ。・・・・(対象者合計12)
 

 (7)、以上6つの例のように、各々の言っていることが全く不揃いで、色んなケースがあり、しかも内容が微妙ではなく、大きく異なっていますので、普通の人が疑問に思うのはあたりまえです。
 
論点というと高尚になりすぎてしまいますが、どう考えても変なところが沢山目につき理解に苦しみます。
拙宅のまわりに撒かれるチラシだけでもこんなに差異があるのですから、全国ではどれだけの面白いケースが生じているものやら・・・・。
「屁理屈を言わず疑問を持たずに広告のままに誘導されて、せっせと、お賽銭をあげに行く善男善女に幸いあれ」だ。
 
  (8)、因みに広告に出たことのないものを「7のケース」として参考までに挙げておきます。
(a)は(1)と同じ。
(b)1のケースのうちCはナシ。つまり男性は25、42、61才。
女性は19,33才とする。・・・・(対象年齢層計5)
(c)は(1)と同じ。(対象者合計9)。
(d)以上の他に、男女とも100歳までの間に次の10回を「悪い年回りの年」とする。つまり
男女とも年齢が10、19、28、37、46、55、64、73、82、91才の年がそれである。
これに当たる年は、インドの天文学に言う「白道と黄道の降交点に当たる架空の星」
(ラゴと称する)が太陽または月に出会う年にあたり、ラゴ星が太陽または月に出会うと、その光をさえぎり日食、月食を起こすので、その年は「悪い年」とするのである。
 
良く見るとこれらの数字は十の桁と一の桁との合計が10になる2桁数字になっています。
この説に従うと19歳は男女とも年回りが悪く、特に女性は厄年も兼ねることになり
ダブルに「悪い年」ということになります。
19歳の女性以外でも悪い年回りの年が増え男性では40代に4年間、女では30代に4年間、穏やかな心では生きられないことになります。
 
 
 
  U、厄年とは
 
   (1)、厄年とは、人間の一生のうちで厄難に遭遇するおそれが多いと想定できる年齢のことです。
現代は、科学技術全盛の時代であり、我々は情報化社会の真っ只中に生きているのですから、「厄年」などのツマランことは、大のおとなが信ずる事柄ではないと一笑に付して終えるのならその方がいい。
しかし迷信といわれつつも、イザとなると人間なんて弱いもので、一般には根強く意識されているのが現実です。
因みに、厄年にあたる人に付いての調査(NHK)によると・・・・
「厄年になにか悪いことがありましたか」の問いには、あった41%、なかった50%、分からない9%。
「厄年を信じますか」の問いには、信じる34%、信じない34%、半信半疑25%、
その他7%。
「厄払いをしましたか」の問いには、した57%、しない43%であったとか。
 
医学的な見地から、厄年の観念は多いに合理性がある(このあたりの年頃は体力の弱り、バイタリティーの減少などで人生の転換点(80年の折り返し点)であると言える)として、厄年を科学的に分析しその正当性を証明しようとしている人もいるようです。
 
ネーミングが良くないので、質問者(K子さん)のように暗く考えがちですが、これをプラスに思考することも可能です。
例えば民族学的見地からは、「ヤク」を「祭祀つまり神社の神事に奉仕する役目」「消防団とか森林組合など村の秩序維持作業に奉仕する役目」「隣村と水利問題の折衝にあたる役目」を拝命できる年齢になったものと解釈します。
部族・村落という共同体の中にあって、社会的にも人間的にも「役」を引き受けることができる年齢、重要な責任を全うできる人間に成長したと考えるのです。
従って、ヤク年は「厄年」ではなく「役年」であり、むしろ「役」を与えられる名誉な時期、最も頼りに出来る働き盛り、花咲く時期とみるわけです。
 
しかし上述T(1)から(8)(現状の広告)のように厄に該当する年齢の分布が色々で且つ厄年の年齢幅があれだけ広範囲になると、証明も分析も解釈も正当にはできなくなると思われます。
 
   (2)、厄年の起原は、現在日本で流布されている殆どの占いのルーツと同様、陰陽五行思想にあります。
世の存在にはすべて陰と陽があり、万物はすべて木火土金水の五つから構成されるとする思想のことです。
記録をさかのぼると厄年の考えは平安時代、陰陽五行の思想に基づいて派生した陰陽道という方術から、当時の公家の間に算出され転々と流布されたらしいのです。
(因みに、平安時代の男子貴族は、漢文をたしなむべきものとされ、漢文を知る男子貴族にとって、占いの知識は重要な教養の一つになっていたともいわれています。)
これが、室町時代頃には武家に、そして次第に民間に広まり、現在に至っています。
この経緯からみて又、旧暦(太陽暦)のしきたりからみて厄年は数え年で決めるのが慣習であると言っていいでしょう。
 

   (3)、伝えられている該当年齢としては、男女とも@精神的肉体的負担がかかり、夫婦の間に中だるみが生じ易い時期、つまり社会的にも家庭的にも何かと重荷がかかってくる転機に当る時期を選んだとか、A病気にかかる率が多い時期をえらんだ(だから迷信とは言えない)とか、B男の大厄42才は「死ニ」、女の大厄33才は「サンザン苦労」「お産でサンザン」、女19才は「重苦」など実しやかな語呂合わせによって数字を不穏に不幸に解釈出来るものを選んだとか・・・・、いろいろな説明が存在していて、本当のところは不明です。
その点では「厄とは」古くからの変な慣習にすぎないと考えて差し支えありません。
厄年の肯否についての私見は後述します。(次回に述べる)
 
厄年の観念は国民一般の生活の中に深く根づいており、圧倒的な人気もあることから、無視するわけには行かず、だからといって上記に述べた7つのケースの内「どのへんで手を打つべきか」と問われると私は選択返答に窮します。
強いて答えれば「無視してしまえ」「その類の広告は直ちに捨ててしまえ」です。
 
初詣の客入りをアオルには、1のケース場合は、人が61才までに厄年に該る対象年がわずか10回しかありません。
(10回もあるのか・・と考えるのが本当なのだが・・・・。)
神社仏閣にとってはカキイレドキとなる年末年始に、善男善女が61才までの間に僅か
10回しか厄除けに来てくれないという勘定になってしまいます。
これではカミサマ、ホトケサマにとって年に1度の折角のチャンスを見す見す逃がすことになり、うまい商売にならない  ???・・・・・。
だから、3のケース(29回)、5のケース(39)のように厄年対象者の大量創出と相成るのかネー。
それにしても厄年が多すぎますナー・・・。
 
   (4)、これらの広告には表示の誤りが余りにも多すぎます。 
因みに、年齢と和暦生年を吟味してみると・・・・
     (a)、3のケースのBつまり女の大厄の該当年は後・本・前の順に、昭和43、44、45とありますが、この人達は、平成13年の誕生日になって初めてそれぞれ、満33才、32才、31才になる人達です。
このケースでは「満年齢」とはっきり断ってありますので、そうすると初詣の時点での本厄の人は未だ32才ということになり、前厄31才後厄33才と共に同じように本来の慣習対象年齢からは1年狂うことになります。
コレ、どういうお積もりの広告なのでございましょうかネー・・・・。
 
指摘された生まれ年の人達が初詣のときに厄除け払いの御祈祷をしてもらうのには、
前本後3つの厄のうちのどの厄でお願いしろというのでしょうかネ・・・。
厄なんだからどれでも、とにかく拝めばいいという訳にも行かぬのじゃないのかネー・。
前でも、本でも、後でも拝み方は全く同じなんですかネー・・・。
3のケースの場合は対象年齢の全てを大厄としていますから、そのDつまり男42歳の大厄の場合も、誕生日が来て満42才、41才、40才という事になり、同じ疑問が出てきます。
   
     (b)、5のケースの場合は、BDは共に、3のケースよりも該当年が2年早くなっています。
しかも該当年齢も併記されています。
このBつまり女の大厄の該当年は昭和41,42,43 該当年齢は34才、33才、32才としています。この人達は平成13年の誕生日になれば、それぞれ35才34才33才であって34才、33才、32才ではありません。
このズレは何なのでしょう。(実にいいかげんだ)
 
5のケースのお寺さんの広告は、何年も見ていますが毎年こうなっていますから、ミスプリではないはずです。珍説ですかネ・・・。
あれは、お正月現在の数え年の表示であって、お正月過ぎの誕生日以降は関知しないということでしょうかネ・・・。
一体どういう計算で表示しているのでしょう。
真面目に見ている人は必ず混乱してしまいます。
 
このDも同様です。該当年昭和32、33、34生まれで該当年齢43、42、41才としていますが、この人達は誕生日を迎えてから44、43、42才になるのです。
書いていることに明らかなズレがあると言えます。
 
    (c)、ついでに、6のケースのばあい、表示した該当年齢と誕生日の年齢(満年齢)とが合っています。
当然のことなのですが、挙げたケースの6つのなかに初めて合致した、めずらしい例です。
しかし、残念ながらこのケースでは、厄年を満年齢で決めるらしく、起原/慣例に忠実ではありません。
また、この場合、誕生日以降が「厄」としているのですから、厄除けは正月ではなく、その年の誕生日以降にする勘定になるはずです。
もし、厄除けを正月の初詣にやれというのなら、広告の該当者は広告をだした年ではなくその翌年の初詣の際に厄除け祈願をしてもらうのが正解なのではありませんかネー・・。
この内容では当年の初詣用の広告としては、なじまないのではないのかネー・・・・。
 
 
  (5)、該当年齢だけ記入し、しかも「数え年」と明記しておけばこのような曖昧さは露出しないはずです。
尚、数え年とは、生まれた年も1年として数えた年齢、つまり、満年齢プラス1才のことをいいます。
1月1日現在などと限定する必要はありません。
お正月にお参りに行く時点での数え年でみるのか、厄該当年齢マイナス1才の満年齢時の期間中の正月にお参りすべきなのかという「厄除けお払いの時期」については、色々な推測が可能で、その適否は全く不明です。
 
しかし、賢い人達は、当該年齢の表示だけでは、来るべき人及びその他の人が来てくれない(商売にならない)ことに気ずきます。
商売の繁盛のためには、和暦の該当生年を出来るだけ多く表示して、誰の目にも止まるように、注意を喚起できるように表示した方が効果があるのは明白です。
 
そこで、「平成〇年の厄年」という一覧表にして広告を出す神社仏閣が多いのか??
厄年と表示された生まれ年に当る人がその広告をみれば、誰でも内心穏やかではいられなくなるでしょう。
加えて、「新しい年に厄除けをしましょう」の呼びかけが、初詣のお出かけにさらに拍車をかけることになります。・・・・うまいネー・・・・
   
厄年の表示が、以上のように盛り沢山に分かれるのですが、カミサマ、ホトケサマとしては、このバラバラについて、どのように説明するのでしょうかネー。
巷の神さん、仏さんに一堂に集まってもらって統一見解を出して、この混乱をスッキリと整理してもらいたいもんですナー・・・・・。
 


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