凶殺(業界用語)の話
- その1 −
Q)
1年位前から家内が仲間数人と占いの勉強を始めており「暗剣殺の日は・・・・」とか「五黄殺の方位は・・・・」とか盛んに口にしますので、私も最近、気になっています。家内が色々と説明してくれますが、聞いても理解できません。自分で本を読んでおりましたら、「六大凶方というのがあって、それはとても恐ろしい方位だ」という文が色んな本にでています。「五黄殺/暗剣殺/歳破/月破/本命殺/本命的殺」(六大凶方)とはどういうことなのでしょうか。又どのように分けられているのでしょうか。教えて下さい。
             大阪市  T.I  48才

A)
気学には様々な約束事がありますので、初めて気学に接した人は戸惑うことがあるかと思います。特に質問に出てくるような、恐ろしさを連想させるだけの単語がいくつも並んでいますから、反発さえ感ずることでしょう。物騒な響きですが、すべて業界用語ですから、2〜3年勉強してその言葉に慣れれば拒否反応が消え何時の間にか何も感じなくなります。

各人の方位の吉凶は、その人にとって祐気/剋気と称するエネルギー(バックナンバー(6)参照)が、方位盤である年盤/月盤/日盤(通称:年廻り/月廻り/日廻り)の軌道上のどこにあるか、また凶殺と同居しているか否かを見て判定します。(祐気/剋気は九星、十干、十二支の各々が方位盤の軌道を移動すること(遁甲といいます)によって決まります。)そこで、吉方凶方を区別したり、その強弱を判定したりする上で、凶殺の存在とその種類が重要になるわけです。

凶殺(又は方殺という。以下凶殺に名称を統一する。)とは、方位の凶を司る神を呼称する業界用語です。凶殺には(a)万人共通のものとして(1)暗剣殺(2)破 (3)定位対冲(4)小児殺が。(b)九星それぞれの固有の凶殺として(5)本命的殺(6)月命的殺があります。
私は機能する凶殺として以上6種を挙げます。凶の程度を5段階に表示すると、順に-5/-5/-4/-2/-3/-2になります。私見は、他のほとんどの気学解説書とは次の点で大幅に異なります。
T、(3)(6)を挙げる人は極まれです。
U、(4)を挙げる人はTよりは多いですが、極少数です。
V、圧倒的多数の否ほとんどの解説書は(a)に属するものとして(7)五黄殺を、(b)に属するものとして(8)本命殺を挙げます。又極希に(b)として(9)月命殺を挙げます。しかも(7)は凶殺のトップに挙げ、(7)(8)とも大凶殺として扱っています。

因みに五黄殺の説明では「五という数字は本来、盤の中央に居座るべきものであるから、五が中央以外に入っている場合は、その方位は不具合であるというべきである。だから誠に不吉な方位と言える。故にその方位を侵すと真綿で首を絞められるが如く、じわじわと攻め立てられ、死滅するに至る。」などとイイカゲンなことを平気で言うのである。

しかし私は過去の文献を解析した結果及び自己の経験則に基ずき,(7)(8)(9)の存在そのものに疑問を持ち、15年前から古来伝承されている定説に否定的見解を取り、独自の調査を続行しています。凶殺は、強いエネルギーを放つ星の正反対側の位置(対冲という)にあたる場合に存在するものであり、五黄も含めた九星の本命が在泊する方位(本命方)はむしろ「吉兆である」との仮説をたてて現在もその正当性を統計検証中です。そして、5−10年後にはその根拠をデータに拠って明らかにしたいと準備しています。尚、凶殺の強度をどのように差別化しているかについての著述は見た事がありませんが、私は上記のように5つに分けています。

W、(9)と(6)を凶殺に挙げる人が極希なのは、これらを選択をしないからと言うよりはその存在を知らない人が多いためと思われます。

X、(4)以外はすべてが年盤/月盤/日盤の軌道上にそれぞれの方則に従って在泊します。(4)だけがこの中では月盤の軌道上にのみ在泊する凶殺です。然るに、大多数の人は、何故か(2)だけを(ィ)歳破(ロ)月破(ハ)日破に分け、このうち(ィ)(ロ)を入れて(1)/(2)(ィ)/(2)(ロ)/(5)/(7)/(8)と同レベルに並べて、今回ご質問のT.Iさんの言われるように六大凶方としています。(凶方という呼び方はマチガイです)

Y、又ある人(かなり多い)は、Xに(2)(ハ)を加え七大凶方とも言っています。

Z、Xに(4)を加え七大凶方と言う人もいます。

[、年盤の破と月盤の破を無頓着に同列に扱うのは分類上の誤りと言えます。また、日盤の破が前二者と異なることも明らかです。凶の程度が異なり、破の効果(方災)の程度も違うのですから、扱い方に差が出て当然なのです。

\、今回のご質問やX、Y、Zのように「・・・・大凶方」と呼称したり、「六大凶方位」とするのが巷では普通ですが、それは正しくありません。凶方ではなく凶殺(又は方殺)が正解です。方位と方殺はちがうのです。更に「大凶方」というのは凶方を大、中、小に区別したときの呼称ですので、ここで使うのは不適切です。占い業界には、毎年多数の人が専門家然として無秩序に参入して来るせいか用語の不統一と分類の不備及び混乱が多く、間違った記述が一人歩きしています。占い師の仕事として極めて重要な「仮説についての検証」の作業つまり当該事項に関して収集し得る限りのデータを計量化して分析し且つ自らその結果を実践する検証作業も著しく不足しているのが実情で、誠に困ったものです。因みに、気学に関する著書には、吉方凶方の区別/吉凶の大中小の区別/吉凶の強弱の区別/吉凶の夫々の質の区別について、どれもこれも極めてあいまいな記述しか載っていません。いずれ私はこのシリーズで解説するつもりです。

ご質問にある「暗剣殺の日」と言う表現も市販の本には良く見かけますが、これは不適切な表現です。同様に「暗剣殺の年/月」もありません。同会被同会鑑定法と祐気鑑定法と言う気学占法の区別が出来ない人、又はこれらを知らない人が思いついた珍説造語の類ですから、無視して一向に差し支えありません。


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