風水家相講座(23)
九星の巡る順序

九星の日月年盤(中宮)への配当(九星盤の中央にどの九星がくるのか)には約束事
がある。
現行のカレンダー(太陽暦によるもの)のように ただ単純に順序良く1・2・3と
前に進む進み方ではない。
これらの循環方則(遁甲)には順行(1・2・3・・・と動く動き方)と逆行(9・
8・7・・・・と動く動き方)との2種類がある。
年盤と月盤の場合は逆行に限定されるが日盤は両方を適用するので少しややこしくなる。

A、まず日盤から述べる。
1、@、九星の開始日は冬至に一番近い甲子の日と定め、その日を一白と決めてスタート
する。
それから二黒、三碧、四緑・・・と数字順に九紫まで数え、10日目には一白に戻る
こととする。これを半年間180日繰り返す。冬至から夏至に至るまでの期間(これ
を陽遁と称する)で昼が次第に長くなる期間である。
次にA、夏至に一番近い甲子の日を開始日と定め、その日を九紫と決めてスタートす
る。今度は@の陽遁とは逆の配列で八白、七赤、六白・・・と逆順に一白まで数え、
10日目には九紫に戻る。これを半年間180日繰り返す。夏至から冬至に至るまで
の期間(これを陰遁と称する)で昼が次第に短くなる期間である。
1年を2期に分け陽遁は冬至から夏至に至る半年を、陰遁は夏至から冬至に至る半年
をそれぞれ司るとするのである。
冬至で復活した陽気が次第に盛んになって夏至にて頂点に達し、以後次第に陰気が増
していく。そして陰陽交代の時には「陽は順行し陰は逆行する」という易意に従うと
このようになるわけである。(裏話14参照)
@により陽遁の最終日は必ず九紫となるがAにより陰遁の最初の日は九紫だから陽遁
から陰遁に切り替わる時は九紫が2日続くことになる。
同様にAより陰遁の最終日は必ず一白となるが@により陽遁の最初の日は一白だから
陰遁から陽遁に切り替わる時は一白が2日続くことになる。

太陽暦(グレゴリオ暦)(現行の暦)(世界で使用されている暦)による1年は36
5日ないし366日であるが、上記@Aのとおり陽遁と隠遁の一巡はそれぞれ180
日であるから、その合計日数は360日となる。
そこで年間ではこの九星の合計日数と太陽暦による実日数(365日または356
日)との間に5又は6日のズレが毎年、生ずることになる。
従ってこのまま陽遁、陰遁を定型的に繰り返していくとズレが積算され大きくなって
しまう。つまり陰遁、陽遁の開始日が約束の「冬至、夏至に一番近い甲子の日」から
少しづつ離れてしまうことになる。
又、干支も同様で、干支の一循環は60日であるからこれが6度繰り返すと360日
となる。これを続けていくと日の干支にも11年前後で一巡(60)の違いが出てく
ることになる。
そこで、これを解消するために昭和14年(1939年)に民間暦の出版元が協定を
結び、11年−12年に1回の割で調整期間を設けることとし陽遁と隠遁の両期間を
30日づつ増やし合計60日を延長することにして一種の閏(九星置閏と称する)を
作ることにしたのである(九星置閏法)(きゅうせいちじゅんほう)。この意味は次
の通りである。
因みに、太陽年(平均で1年365.2422日)と現行の太陽暦(1年を365日
の整数とする暦)との間には誤差がある。これを続けると誤差はどんどん大きくな
る。そこで400年に47日だけ1年間を通常の年よりも1日多い366日とする閏
年を設ける(「置閏法」(ちじゅんほう)と称する)こととして現時に至っている。

2、たとえば至近の九星置閏を挙げると平成9年と平成20年がある。
前者は夏至節を調整した例、後者は冬至節を調整する例に該当する。
@、夏至節の具体的例:平成9年の夏至に一番近い甲子の日つまりH9年5月22日
は通常なら陰遁の開始日の九紫に改めてスタートすべきところ(上記1A参照)、そ
のようにはせず、5月21日まで続いていた順行をそのまま続行させることにする。
つまり九紫とはせず逆行にもしないで(5月22日(一白)を置閏の第1日として)
翌月6月20日まで一白、二黒、三碧と順行をそのまま続けることとする。

更に、その後の30日間を次のように操作する。
イ、「九星置閏期間の開始日(H9年5月22日)から30日目(6月20日)の九
星と31日目(6月21日)の九星とを同じ九星とする。そしてロ、その九星をス
タートに、「それまでが順行なら逆の逆行に、それまでが逆行なら逆の順行に」とそ
れまでの遁甲を逆にすることとする。
ハ、H9年の場合を上記イロにあてはめると、同じ九星とは三碧のことであり、それ
までの遁甲は順行であったから31日目(6月21日)からは逆行をスタートさせる。
しかも逆行のルールである九紫スタートではなく三碧からスタートさせるのである。
従って三碧が6/20・6/21と2日続くことになる。
以後二黒、一白、九紫・・・と7月20日まで30日間逆行を続けるのである。

これが「調整」であり、H9年5月22日から始めてH9年7月20日には60日間
の調整期間を終了させることにする。
調整期間が終了したあとは巡ってきた逆行をそのまま進める。
因みに次の日、H9/7/21は上記1Aにある通り九紫になっており、逆行スタート
のルール通りに九紫からスタートすることになる。

この11年後の平成20年もこれ、つまり60日間の調整機関を設ける年に該当する。
A、冬至節の具体例:平成20年の冬至に一番近い甲子の日つまりH20年11月2
0日は通常なら陽遁の開始日の一白に改めてスタートすべきところ、そのようにはせ
ず、11月19日まで続いた逆行をそのまま続行させることにする。つまり一白とは
せず順行にもしないで(11月20日(九紫)を置閏の第1日として)翌月平成20
年12月19日まで九紫、八白、七赤・・・と逆行をそのまま続けることとする。
更に、その後の30日間を次のように操作する。
イ、「九星置閏期間の開始日(H20年11月20日)から30日目(12月19
日)の九星と31日目(12月20日)の九星とを同じ九星とする。そしてロ、その
九星をスタートに、「それまでが順行なら逆の逆行に、それまでが逆行なら逆の順行
に」とそれまでの遁甲を逆にすることとする。
ハ、H20年の場合を上記イロにあてはめると、同じ九星とは七赤のことであり、そ
れまでの遁甲は逆行であったから31日目(12月20日)からは順行をスタートさせる。
しかも順行のルールである一白スタートではなく七赤からスタートさせるのである。
従って七赤が12/20・12/20と2日続くことになる。
以後八白、九紫、一白・・・と21年1月18日まで30日間逆行を続けるのであ
る。

これが「調整」であり、H20年11月20日から始めてH21年1月18日には6
0日間の調整期間を終了させることにする。
調整期間が終了したあとは巡ってきた順行をそのまま進める。
因みに次の日、H21/1/19は上記1@にある通り一白になっており、順行スター
トのルール通りに一白からスタートすることになる。

なお、H9年の前の九星置閏は、その11年前の昭和60年冬至節が該当し、調整の
目安であるダブりはS60年12月20日、12月21日の七赤、であった。
H20年の後の九星置閏は、その12年後の平成32年夏至節が該当し、調整の目安
であるダブりはH32年6月19日、6月20日の三碧である。
以上の通りズレの調整のために、冬至節の場合は七赤を、夏至節の場合は三碧をダブ
ルらせることにしている。

3、通常の年及び閏年の日盤の九星配当は九で順行が終わり、次の日からは九で始ま
る逆行とし、これが一で終わり次の日からは一で始まる順行とする事をルールとする。
つまり九九から一一までを繰り返すのであるが、九星置閏の年では始めの九九に替
わって三三が来る。そして三三から一一までとする。または終わりの一一に替わって
七七が来る。そして九九から七七までとすることになる。
このうち三三から一一までとなる年は夏至を調整した年であり、九九から七七までと
なる年は冬至を調整した年である。
以上の通り九星の遁甲は極めて正確且つ綿密であることがわかると思う。


B、九星の月盤への配当は年の中宮十二支によって異なり3種に分かれる。(裏話NO
14参照)
配当する始めの月は二十四節気の立春から啓蟄の前日までの節月(占いに云う寅月)
である。
太陽暦(現行のカレンダー)の月はもちろん太陰暦(月の満ち欠けで定める暦)の月
も始まりの対象ではない。
子卯午酉(中宮)の年には正月に八白を配当する。理由は占い暦(節月)での正月は
寅月であるから、子月はその3ヶ月前の11月であり、子月である11月に一白を配
当すると逆行により正月は八白が来ることになるからである。以後は逆行で次の啓蟄
から清明の前日までの月(卯月)に続く。(遁甲は上述の通り逆行による)(以下同じ)
丑辰未戌(中宮)の年には正月に五黄を配当する。以後は逆行で次の啓蟄から清明の
前日までの月(卯月)に続く。
寅巳申亥(中宮)の年は正月に二黒を配当する。以後は逆行で次の啓蟄から清明の前
日までの月(卯月)に続く。
月盤の場合は日盤や年盤への配当のように甲子(の月)スタートにこだわらないのである。
因みに甲子の月の至近の例を挙げると:
1998年(H10年)の甲子は12月で九星の配当は一白。
2003年(H15年)の甲子は12月で九星の配当は四緑。
2008年(H20年)の甲子は12月で九星の配当は七赤である。
次は、2013年(H25年)であり、甲子は12月で九星の配当は一白である。
このように甲子の月は5年(60ヶ月)ごとに、一白、四緑、七赤と続くのが特徴である。

C、九星の年盤への配当は60干支と組み合わせることを前提に年の中宮干支のうち
甲子の年を初めの年として配当する。(裏話NO14参照)。
干支の一巡り(60年)が3回巡り且つ九星の一巡り(9年)が20回巡り、計18
0年かかって干支九が再び元に戻るように(つまり同じ干支、同じ九星に戻るよう
に)配置する。(遁甲は上述の通り逆行による)3期にわけ1期目は甲子の年に一白
を配当して癸亥五黄まで60年間逆行させる。(上元と称する)
2期目は甲子の年に四緑を配当して癸亥八白まで60年間逆行させる。(中元と称する)
3期目は甲子の年に七赤を配当して癸亥二黒まで60年間逆行させる。(下元と称する)
合計180年で一巡することになる。
因みに至近の例を挙げると現在は1984年(昭和59年)七赤から始まった3期目
(下元)の真っ只中に在り、これが進行中で、以後2043年(平成55年)まで続く。
これ以前の期間は1924年(大正13年)四緑から始まった2期目(中元)であっ
たが、1983年(昭和58年)まで60年間も続いたものであった。
2044年(平成56年)からは一白から始まる1期目(上元)に戻るが、だいぶ先
の事になる。
その頃になると、今これを読んでいる人の殆どは、お隠れになっているか、又はもう
この類には興味がなくなってしまう歳になっているのではないのかな?。
尚、上中下元を総称して三元と名付け「世の中や人の運勢などは三元を周期として盛
衰を繰り返す」つまり、上元に生まれた人は品性が上、中元のそれは中、下元のそれ
は下などと云っている輩もいるらしいが、こんなバカな御託は気にしないこと。全く
無視してよろしい.

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