風水家相講座(14)

門、門柱、生け垣の話

Q
私の住まいは四方を生け垣で囲ってありますが、門はありません。
北と西に道路があり、ふだん私達は西の道から入っています。車も西側の入り口を利用します。
別に北側に入口があります。
北の生け垣は、強い風をよけるために3メートル以上の高さの樫の垣根で造ってあり、木2本分約2メートルほどあけてあります。郵便や新聞配達その他の人の為の通用口です。ここにも門はありません。
東と西は、約1メートルの高さの石垣があり、その上に2メートル位のヒバが植えてあります。
南は、庭として使用し、私達の好みの木(花が咲くもの、匂いを放つもの)を植え、残りのスペースは、季節ごとに花を植え変えて、楽しんでいます。
今迄、私達家族は何の支障もなく平穏に生活しておりますが先日、知人から垣根はもっと低い方が良い、門はあるのがあたりまえなのだから、今からでも取り付けた方が良いなどと言われ、家相のことも聞きました。
それ以来、気になっています。
どうしたらいいのか、家のイラストを同封しますので、アドバイスをお願いします。

                   茨城県   S子   48才


A
門が家相上問題になるのは、次の点です。家屋との調和を重視して判断する事項です。
1)門の大小及び高低(母屋と比較して)
2)門の周辺の状況(大石、石碑、大樹、陰樹(楠、棕櫚、蘇鉄、樅など)竹類などが門の周辺に存在するかどうか)
3)門の位置(宅地と比較して高いか低いか)
4)門の向き(神社、仏閣、祠(ほこら)、道祖神、井戸などに向かい合っているかどうか)
5)門柱の状態(曲がっていないか、根継ぎしていないか)
6)門の位置する方角
7)門の造作の時期(家屋より先か後か)

お宅の場合は、門柱(木・石・金属などを材料とする)を置かず、生け垣の切れ目を門柱の代わりにした場合に相当します。
門とは、全ての物事が通過経由する所で、家の外構えに設けた出入り口のことをいいますが、お宅のような入り口の作り方であれば特に門柱は必要ありません。

そもそもわが国で門を構えるようになったのは、武家が社会の中心になり始めた頃(平安末期)のようです。
とりわけ江戸時代は、門が武士の威厳の象徴として造られ、門を見ればその家の格式がはっきりと判るようになっていました。その家の主人の禄高・身分・地位の高低によって形が定められていたからです。
ほとんどが、門柱を立て、屋根を葺き、門扉をつけ、現代の家屋の一軒分あるいはそれ以上の規模の立派なものでした。
天皇からの勅使が来るような(身分の高い)家では勅使専用の門(勅使門)があり、正門は、家主よりも目上の人が来た時や、儀式の時に使用し、家としての権威、貫禄をつけてエエカッコしたわけです。
家に貫禄がつけば、来客の頭も低く丁寧になるはずだと考えたらしいのです。
更に、出入りの商人や普通の客は、正門から出入りさせない。そうでないと、威張って入ってくる。そうさせない為に通用門を別に造り、くぐり戸をくぐらせてあたまを低くして入って来させるのがよい・・・など、民主主義の現代では、全く理不尽で実につまらないことを、当時は本気で考え、一般化され、納得させられていたわけです。
身分による制限がなくなるにつれ(明治になってから)、門は格式や身分ではなく、富や地位を誇示するための装飾的な意味が強くなり、個人の趣味、好み、予算で勝手につくられるようになり、現代に至っています。
家は自分及び家族の安住の城であるから、外から邪魔されることのないよう堅固に守る必要があり、門がその役目をする(門は家を守護する)ものだとの理由で、いかめしいものを造り、または旧態依然とした古い格式を云々して、それに沿ったものにする向きも未だ若干存在するようですが、ごく少数だと思われます。
現代日本は民主主義、自由競争社会にあるのだから、実力や虚勢を誇示するのが当然だとする向きからは、それもまた一理ありといえるのでしょうか。
門を立派にしたから・・・・云々は、個人の好みや考え方によるもので、無理をしてまで立派な構えのものにするほど大切な意味があるものではない、むしろ、こんなものに特別にこだわる理由など全く無いと私は考えます。

門は結局、造っても良し、無くても又良しとすべきですが、造る時は、門は外の人と交流するところ、人を迎え入れるための通路ですから、「入り易く親しみのある構え」に造るのが理想的です。
お宅(質問者)の場合は、生け垣を四方に回し、切れ目を造って門柱の代わりにされていますから、内と外の区画つまり、自分の責任範囲(どこまでが公の、あるいは他人の場所か、どこからが自分の場所か)をハッキリさせていると同時に、クルマの出入り口を兼用した入り口と、その他の通用口を設け、外との交渉を容易にする方便を充分に備えているといえます。
生け垣は、塀の類に入ります。
塀の造りには、コンクリート、石、煉瓦、ブロック、ナマコトタン、金網、フェンス(金属製の柵)、土、板、竹、生け垣があります。
塀にも身分、格式などによってて決まった形式が、かつてはあったようですが、現代では、これも門と同様に実用と好みを兼ねたものを夫々が予算に応じて、自由に造っています。
最近は、一定の敷地を区切って相当の戸数を建てますので、塀の造りはフェンスが一般化しています。
お宅のように生け垣にしている所は珍しい方に属します。うらやましい造りとも言えます。

塀は敷地内に太陽光線を充分に取り込むために、南を低くし、更に取り入れた陽気を暖める為、北を高くするのが良いのですが、あまり高くしすぎると他人に寄り付きにくく、且つ固い感じを与え、周囲から閉鎖的で秘密主義の家と見られがちなので、プラスとはいえません。
但し、地域によって、埃がひどい、騒音がすごい、風が強いなどの特殊事情が有れば、それらを防ぐ為にある程度の高さにする必要も出てきます。
お宅の場合は、地域的に北風が強いようですし、敷地も広いようですから、垣根の高さが3メートルあるからと言って、家相上特に問題視する必要はありません。
御家族の皆さんが、長い間何の支障もなしに過ごせたのは、その証しと考えて差し支えありません。
知人に指摘されているような問題は全くありませんので、
知人のことばを気になさる必要はないでしょう。
因みに頭書に挙げたどの部分に問題があるのか、その知人にこのHPを見せて、1つづつ聞いてみてください。益々のご発展とご多幸を祈念致します。 
  
山崎もとい



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